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2015 年 10 月 20 日

ウエスギアンプの絶対位相に関する考え

UBROS-2011P、U・BROS-28、UBROS-31のラインアンプ(CD等→pre out)は反転アンプで構成されており逆相出力となります。即ちピンジャック入力(アンバランス入力)は逆位相でプリアンプ出力されることとなります。U・BROS-28のバランス入力はトランス入力で構成されておりますが、XLR②ピン入力が上記ピンジャック入力(アンバランス入力)と同じ位相関係になるよう設計されています。
従ってラインアンプが正相アンプで構成されている一般のプリアンプと見成せばXLR③ピンプラスのアンプという事になります。このように従来のウエスギアンンプでは、入出力間位相に関しては特段配慮された設計となっておりません。この件につき以下にU.BROS-28の設計者である故上杉氏の考えを小生なりに忖度し以下に記します。

絶対位相に関しては、当社では最重要視はしておりません。
アンプを構成する上で構成反転アンプが適していればこれを採用いたします。また正相に戻すために逆相アンプを追加する事は失う事の方が多いからあえて正相にこだわっておりません。
例えば《 U.BROS-28(逆相アンプ)+U・BROS-30Ⅱ(正相アンプ)》の組み合わせで、スピーカー接続の段階でプラスマイナス逆に接続すれば絶対位相の是正は可能ですがこの変化は善し悪しのレベルではありません。人によっては差を感知できますが、善し悪しの判定は困難で、仮にできてもソースによりこの判定結果が逆転する事もあります。これは制作過程の絶対位相管理状況を知れば理解できます。
反対に逆相アンプが適している箇所を無理に正相アンプで構成したり正相に戻すために逆相アンプを追加する事は明らかな質の劣化を伴います。


当社創業者上杉氏が生前引用された諺に「木を見て森を見ず」があります。氏は大局観のあるスケールの大きなエンジニアでした。当時はやりのケーブル論争についいても冷ややかに見ておられました。事実、絶対位相に関しては位相切り替えスイッチを装備したアンプも出現しましたが、現在はひところに比べ下火になっているようです。ケーブルほど音質差が生じない事もその一因です。
代が変わりましても、種種の制約の中で最適解を求める設計者として故上杉氏の「木を見て森を見ず」を座右の銘としております。ただ細部にこだわるマニアの方の心情はよく理解できますので、本件に関しても機会を捉え取扱説明書等で当社の考え方を表明してまいります。同様、ACラインの極性についても故上杉氏は特別の管理をしておりませんでしたが、これについてはACラインを流れるコモンモード電流の管理という理論的背景がありますので、メモリアル商品より明示しております。再生系での絶対位相は録音系の位相管理の実態に照らしますとあまり意味持たないのは事実ですが、現代オーディオ再生機の関心の高いパラメーター管理の観点からも明確化が必要と判断しております。いうまでもなくマルチチャンネルアンプ再生のように一つの系内での相対位相の管理は必定でありますので、メインアンプに関しては明示すべきと考えております。